ISO14001の目的目標はこう考える 『プロジェクト』としての環境目標
※このページは「ISO14001の目標目標はこう考える〜日常管理としての環境目標」の続きです
『プロジェクトとしての環境活動』を考えるために、ここでは「節電」を例にとって考えてみましょう。
たとえば、環境目標を決める際、「年間計画表」などに書き込むことがあります。
「昼休憩は消灯する」
という目標を決めたら、それをいつからいつまで誰が責任を持って実行させるか、ということを矢印で書き込んだりします。
毎年このような目標を決め、電気の使用量を、最初の年は10→9にし、翌年は9→8にする、などと設定します。
しかし、単に「減らすこと」を目標とすると、いつの間にか「何のために環境目標を決めるのか」を忘れて、「減らすこと」が目標になってしまいます。
実は、電気の使用量を減らすのは、難しいことではありません。
機械を稼動させることで電気の使用量が増えるなら…稼動させなきゃよいのです。
つまり、働かなければ電気も減らない。
簡単でしょう? …というわけにはいきません。
そんなことをすれば、会社の経営状態が危なくなってしまいます。
「環境のため」と言いながら会社が滅びてしまったら意味がありません。
たとえば、全社として、今年の環境目標は電気の使用量を「8→7」にしよう、と決めたとすると…。
全ての部署が、同じように「8→7」というのは、難しいはずです。
たとえば、日中ほとんど人がいない「営業部」は、電気を消すことで「ムダをなくす」ことができますが、「事務部門」には電気が必要です。
さらに、「製造部門」になると、いくら省エネが大事だといっても、機械を動かすためには電気を使わないわけにはいきません。
つまり、「省エネ」の意味が変わってくるのです。
欧米では、環境目標を設定する際『SMART』というキーワードがよく使われます。
SMARTとは
・Specific (その部門特有のテーマ)
・Measurable (達成できたかどうかが判定可能)
・Achievable (到達できる)
・Realistic (現実的に出来る)
・Timely (一定の期間内で達成できるもの)
の略です。
※『SMART』の単語については諸説ありますが、ここでは上記の用語を使用します。
「電力の削減」は、電気の使用量などで「一定期間の結果を判定」できるし、現実的な目標だともいえますが、「Specific」については、ちょっと弱いと思われます。
ここが肝心なところです。
全社上げて「電気は消しましょう」という目標を定めるのではなく、『部署ごと』によりプラスになる環境目標を決め、活動する意味を考えることが必要です。
ISO14001に取り組んだからといって、全ての部署が判で押したように同じ目標に向かって頑張る必要はありません。
現実問題として、それは不可能なはずです。
では、実際に電気をなるべく削減するためにはどうすればよいでしょうか。
と考えると…やはり「働かない」のが一番です!
とはいえ、先ほども書いたように、働かない、つまり『残業などせず、作業時間を短縮する』と、電気は削減できても、生産量まで落ちてしまいます。
しかし、裏を返せば、残業しなければ効率が落ちるような生産計画を立てているのではないでしょうか。
いきなり「電気を消す」という結論を目標とするのではなく、少しでも作業効率をよくすることをまず考える。
すると、残業もなくなり、電気の使用量も減ります。
「なぜ、これだけの電気を使うのか」
「なぜ、廃棄物がこれだけ出るのか」
業務の流れを見直し、ムダが出る理由をしっかり考えていくことも、プロジェクトとしてのISO14001への取り組みのひとつです。
ISOは、単なる形式上の「資格」ではなく、会社がよくなるためのシステムです。
経営あっての環境目標ですから、目標のための『目標』、数値上だけの『達成』は意味がありません。
環境、環境といいながら、会社の業績が悪化するようでは、意味がありません。
環境を大切にしつつ、業務はしっかり行ない、利益も上げていく、そこまで考えるということが、ISO14001を『プロジェクト』として考えるということです。
| 上記の内容を再編し、補足、整理したものが、本になりました。 マネジメントシステムの原理原則〜品質マネジメント8原則で経営力を高めよう ISOの土台「品質マネジメント8原則」を徹底解剖し、組織の目指すものを確実に実行するためのシステムづくりの方法について、豊富な事例をベースにまとめています。 |
このページの内容は、ISOコンサルタント 三村聡(有限会社アイムス代表)が執筆しているメールマガジン「マネジメントのマメ知識〜ISOを活用しよう」で取り上げたコラムを再編し掲載しています。(2006.9.13発行「ISO14001の目的、目標は『プロジェクト』で考える」より)
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