適切な資源とは
ISOには、経営者の責任として『適切な資源(人材や設備など)を用意する』という項目があります。
しかし、「適切な資源を用意するなんて、当たり前のことだ」と、システム構築の際に見落とされがちなのが、この項目。
要求事項の中でも一般論として目立たないところに書かれてあるためか、マニュアルを作るとき、以下のような文章を記載するだけで終わっているケースが見られます。
社長は、次の事項に必要な資源を明確にし、その配分を決める。
(1)品質マネジメントシステムを実施し、維持する。またその有効性を継続的に改善する。
(2)顧客満足を、顧客要求事項を満たすことによって向上する。
あとは『教育』や『インフラ』の項目で詳細を書いている、というケースです。
しかし、当たり前のことを確実にすることで初めて、企業として成立します。
「本当に自社にとって必要な条件が整備されているか」を確認する、つまり「適切な資源がなければ何も始まらない」ということを理解し、きちんと実施できている企業は、どのくらいあるでしょうか。
営業からシステム整備、サービス提供、アフターフォローを含め、トータルで最もよいパフォーマンスを追及することが本来の経営であるべきです。
一例を挙げてみます。
2006年、携帯電話の「番号ポータビリティ」新制度がスタートしたときのこと、携帯電話各社は顧客の囲い込み&争奪戦をスタートしました。
その際、とある会社(S社とします)は、目玉として「予想外割引」というサービスを大々的に打ち出しました。
しかし「予想外」だったのは、問合せや申し込みの数。
この目玉に惹かれた顧客が殺到し、サービスが数回停止されました。
目玉商品を打ち出しながら、サービスを一時停止するということは、会社にとって何より大切な「信頼」を大きく損なったことになったといえます。
この事件は、『顧客の囲い込み』という『営業戦略』のみに捉われて、情報システムという携帯電話会社にとって不可欠な『インフラに対する配慮』が欠けていたために起こったのではないでしょうか。
どこにボトルネックがあるのかを検証せず、目先の利益確保に走ってしまうと、自社の信用を低下させることにもつながりかねません。
新サービスを打ち出すにあたり、
・既存のインフラで十分に対応できるのか
・問合せに適切に対応できるようにスタッフの教育は十分なのか
・説明資料に不備がないのか
などを十分に確認し、足りないものは事前に用意すること、つまり「適切な資源」を準備するというのが経営者の役割です。
年末の大商戦やブームなどにより注文が殺到したとき、つい浮かれてここぞとばかりに無理な注文をとったり、できるかどうかわからない要求に対して、つい「できます」「間に合います」と言ってしまうことがあります。
しかし、まずはその受注に対応できる『適切な資源』は用意されているかどうか、考えてみてください。
そして、「営業サイド」と「現場や工場での作業」は、きちんとリンクされているかをチェックしましょう。
規格の要求項目には、一見いわゆる『当たり前のこと』ばかりが書かれているようにみえます。
しかし、その当たり前のことを確実に実施することは、意外と難しいのです。
(A)当たり前のことを、(B)ボーとせず、(C)ちゃんとやる。
この『ABC大作戦』で戦っていきましょう!
| 上記の内容を再編し、補足、整理したものが、本になりました。 マネジメントシステムの原理原則〜品質マネジメント8原則で経営力を高めよう ISOの土台「品質マネジメント8原則」を徹底解剖し、組織の目指すものを確実に実行するためのシステムづくりの方法について、豊富な事例をベースにまとめています。 |
このページの内容は、ISOコンサルタント 三村聡(有限会社アイムス代表)が執筆しているメールマガジン「マネジメントのマメ知識〜ISOを活用しよう」で取り上げたコラムを再編し掲載しています。(2006.11.8発行「適切な資源はありますか」より)
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