プロセスアプローチを理解する(4.4)


プロセスアプローチとは

4.4.1
組織は、この規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、品質マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ継続的に改善しなければならない。
組織は、品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。


組織におけるすべての業務は、ひとつの目的に向かって行われています。
営業手順、事務処理手順、製造工程など、それぞれの業務に対して個別のプロセスはあったとしても、会社全体で見たときはすべて同じ目的のもとで業務が進められているはずです。
例え、営業プロセスで最適化をはかり、効率的に仕事を受注しても、事務プロセスや製造プロセスがそれに対応できなければ、納期に間に合わず『顧客からのクレーム』や『組織への信頼の低下』など、組織が意図した目標に反した結果になります。

組織全体としての目標を達成できるよう、組織で行われているひとつひとつの業務や工程(プロセス)の集合体を、会社全体のプロセスとして捉えることが大切です。
全体として最も適切な状態を確立するため、各プロセスの順序や相互関係、相互依存性を整理することを『プロセスアプローチ』といいます。

一つのプロセスのアウトプットが、次のプロセスのインプットになるという形で、プロセスは一本の線のように次から次へと繋がって行きます。(外部の会社に委託している業務(アウトソース)についても、自社のプロセスに含めます)

プロセスアプローチを行うことによって、一つの部署や一つの工程と言った『部分』ではなく『組織全体』として最適な状態を目指すことができ、組織の品質方針や戦略的な方向性に従って意図した結果を、効果的かつ効率的に達成できるようになります。

【プロセスアプローチの流れ】



プロセスアプローチを行うには

理念を明確にする
組織が到達すべき理念や目的を明確にします。
「安全安心な食品を消費者に届ける」「楽しんでもらえる場を提供する」「高齢者が安心して使用できる製品を製造する」といった、組織として目指すことを「目的」として定めます。

インプット・アウトプットを明確にする
「製造部や営業部がそれぞれ自分の仕事の進め方を整理する」「営業部が受注し、製造部に渡す」といった流れを明確にします。そのうえで、業務における一連の活動をインプットとアウトプットの観点から細分化します。

通常行っている自身・自部門の作業の中で、どれが『インプット(どのような情報を受け取るか)』でどれが『アウトプット(どのような成果を出すか)』なのか、まずはひとつずつ洗い出してみましょう。
例)
インプット(前の段階(工程)から入ってくる情報・材料・指示書・仕掛品等)
  事業計画、部門計画、目標、予算、市場動向  など
アウトプット(後の段階(工程)へ渡す、業務の情報・材料(結果)、仕事の成果)
  事業計画に対する実績や部門計画に対する実績 など

課題を洗い出す
現状が整理できたら、現在の業務の中の「課題」を洗い出していきます。
(「人手不足」「設備が使いづらい」「手順が悪い」等、業務を行う上で困っていることや改善したいこと など)

一つの工程(プロセス)におけるそれらの課題について、インプットされた「原材料(Material)」を「何を用いて」「誰が」「どのように」管理するのかを明確にします(4M)。

それにアウトプットの前の評価基準を加えて(5Ⅿ)、 以下の「タートル図」で考えるとわかりやすいでしょう。5Mを明確にすることで、プロセスに必要な資源を明確にし、利用できるようになります。

【タートル図】



各規格要求事項とプロセスアプローチ

ISOマネジメントシステムとは、 上記のタートル図が『整っている状態』のもとにおいて適切なアウトプットを生み出すことを目的としています。
しかしながら、想定内・外の事態により「すべきことが適切に行えない」こともあります。そのようなことも考慮して、ISOの要求事項は構成されています。

●プロセスアプローチ(タートル図)を作ろう/4.組織
『4.4 マネジメントシステムとプロセスアプローチ』の項目では上記の『タートル図』を作りましょう、という意味だと考えていただければよいでしょう。(※図を作るという意味ではなく、この流れを明確にする、という意味です)

●プロセスアプローチ(タートル図)が整わない(管理できない)/4.組織
タートル図の5Mを管理していくなかで、うまく運用できていない箇所が出てくると思います。それが今後解決すべき「課題」です。

●プロセスアプローチの責任・権限を明確にしよう/5.リーダーシップ
プロセスアプローチを行っていく上での責任者及び各自の権限を明確にします。

●プロセスアプローチに予期せぬことが起きる/6.計画
プロセスアプローチを整えたとしても、予期せぬ様々な外的、内的状況の変化(社員が辞めた:人、新しい機械を購入した:設備 等)は起こりえます。それが、管理すべき『リスク及び機会(6章)』です。
リスク及び機会とは『タートル図が整わない状態』とはどんな状態か、そうなった場合に何をすべきかを明確にすればよいでしょう。

> リスク及び機会についてはこちらへ

●プロセスアプローチに必要なものは/7.支援
一つのプロセスのために必要な資源や人材等の支援体制を整えていきます。

●プロセスアプローチを行うには/8.運用
タートル図が整えられたら、実際に運用できるようにします。
必要な情報はあるのか、責任者は決まっているのか、方法は決まっているのか、どこまでするのかなど、タートル図を意識して具体的なルールを明確にしていきます。

●プロセスアプローチは機能しているか/9.パフォーマンス評価、10.改善
「タートル図で定めた通りに、運用できているか?」
「課題を克服できているか?」
「想定したリスクに対応できているか?」
などを評価していきます。
そこで挙がった課題を次回以降のテーマとして、改善等に取り組んでいき、常にブラッシュアップしていきます。

> ISO 9001のPDCA(4章から10章までの流れ)はこちらで解説