FSSC 22000 Ver.6.0の基本と特徴、規格の構成、カテゴリーについて知っておきましょう。

本ページでは、主にFSSC 22000における特徴的な内容について記載しています。
FSSC 22000に含まれるISO 22000の規格内容ISO 22000との違いPRPのページ等と合わせてご覧ください。

FSSC 22000とは

FSSC 22000とは、食品安全マネジメントシステムの1つです(Food Safety System Certification)。
オランダのFFSC(The Foundation of Food Safety Certification:食品安全認証団体)が、ISO 22000とISO/TS 22002シリーズ(旧:PAS 220)を組み合わせて開発した規格です。
世界規模で食品安全対策に取り組むため、世界中の全分野に普及させることを重要な目的としており、フードサプライチェーンの中に存在する多くの食品安全規格を網羅しています。

FSSC 22000 Ver.6.0の規格構成

FSSC 22000の取り組み方は、ISO 22000とほぼ同じです。
ISO 22000との違いは、FSSC 22000の方がすべき項目がより具体化されていることです。

FSSC 22000 ver6.0の規格構成は以下の通りです。

  • ISO 22000:2018
    • 各工程ごとに管理方法を定め、重要ポイントはハザード分析を行う。
  • ISO/TS 22002シリーズ
    • PRP(前提条件プログラム)。ISO 22000では各社が自由に前提条件プログラムを選ぶことができるが、FSSC 22000ではISO/TS 22002シリーズを利用する。
  • 追加要求事項 ※現在はVer.5.1。2024年4月よりVer6.0。
    • FSSC 22000では、全業種に適用される項目カテゴリー別に適用される項目があり、追加要求事項としてこれらに取り組む。

Ver.6.0からは、上記に加えてFSSC 22000の「利害関係者委員会の見解」が要求事項として定められます。
また、定期的に発行されるガイダンス文書FSSC 22000のガイドライン参照文書(FSSC 24000:2022)の倫理法令順守(FSSC倫理原則)も順守する必要があります。

FSSC 22000のPRP(前提条件プログラム)

ISO 22000(8.2.4項)のPRPは11項目及びその他の計12項目で構成されていますが、ISO/TS 22002シリーズでは15項目です。いくつかの内容が補完、追加されています。

FSSC 22000の前提条件プログラム

※( )内はISO 22000 8.2.4項 

  1. 建屋の構造・レイアウト(a. 建造物、建物の配置、及び付随したユーティリティ)
  2. 建物・作業場のレイアウト(b. ゾーニング、作業区域及び従業員施設を含む構内の配置)
  3. 空気、水、エネルギー(c. 空気,水,エネルギー及びその他のユーティリティの供給) 
  4. 廃棄物処理(d. 廃棄物及び汚水処理及び支援サービス)
  5. 装置の適切性、清掃・洗浄、メンテナンス(e. 装置の適切性並びに清掃・洗浄及び保守のためのアクセス可能性)
  6. 資材の管理(f. 供給者の承認及び保証プロセス?)
  7. 交差汚染の予防(h. 交差汚染の予防手段)
  8. 清掃・洗浄、殺菌・消毒(i. 清掃・洗浄及び消毒)
  9. 有害生物の防除(d. ペストコントロール)
  10. 要員の衛生及び従業員用施設(j. 人々の衛生)
  11. 再加工(※ISO 22000の8.9)
  12. 製品のリコール手順(※ISO 22000の8.9)
  13. 倉庫保管(g. 搬入される材料の受入、保管、発送、輸送及び製品の取扱い)
  14. 製品情報/消費者意識(k. 製品情報/消費者の認識)
  15. フードディフェンス、バイオビジランス、バイオテロ要員の衛生、従業員用施設(※FSSC 22000のみ)

補足内容

14.再加工、15.製品のリコール手順はISO 22000の「8.9 修正、安全でない製品の取り扱い、製品回収」の内容を補完する要求事項。
ISO 22000の8.9では、「組織はCCPの許容限界を逸脱した場合、またはオペレーションPRPを逸脱した場合」と記載されています。これは、CCPやPRPなど特別な箇所を逸脱した場合と解釈できますが、実際は特別な箇所だけでなく不具合があれば製品回収するのが普通です。
ISO/TS 22002シリーズでは、あらゆる状況における再加工やリコールについて対処することが求められています。

FSSC 22000のカテゴリー

FSSC 22000では「フードチェーンカテゴリー」によって、取り組むべきPRP(ISO/TS 22002)が異なります。

カテゴリサブカテゴリ適用されるPRP
B:植物の取扱いBⅢ:植物製品の前工程の取扱いISO/TS 22002-1 :2009
C:食品製造(犬猫用のペットフードを含む)C0:と畜など  
CⅠ:傷みやすい動物性製品の加工 
CⅡ:傷みやすい植物性製品の加工
CⅢ:傷みやすい混合製品の加工
CⅣ:常温保存製品の加工
ISO/TS 22002-1 :2009
D:動物飼料の製造D:犬猫以外のペットフード及び食用動物用飼料の加工ISO/TS 22002-6 :2016
E:ケータリングE:ケータリング/給食業務ISO/TS 22002-2 :2013
F:取引、小売、卸売及び電子商取引FⅠ:小売/卸売/電子商取引 
FⅡ:仲買/取引/電子商取引
BSI/PAS 221:2013
FⅡはなし
G:輸送及び保管G:輸送及び保管業務ISO/TS 22002-5 :2019
I:食品包装及び包装材の製造I:包装資材の製造ISO/TS 22002-4 :2013
K:バイオ/化学製品の製造K:バイオ/化学製品の製造 ISO/TS 22002-1 :2009
ISO/TS 22002シリーズのカテゴリ

FSSC 22000の追加要求事項

FSSC 22000の追加要求事項は、全業種に適用される項目とカテゴリー別に適用される項目があります。(  )内は適用されるカテゴリーです。

  • 2.5.1 サービス及び購買材料の管理(全業種)
  • 2.5.2 製品ラベル(全業種)
  • 2.5.3 食品防御(全業種)
  • 2.5.4 食品偽装の予防(全業種)
  • 2.5.5 ロゴの使用(全業種)
  • 2.5.6 アレルゲンの管理(全業種、C、E、F1、G、I、K)
  • 2.5.7 環境モニタリング(全業種、C、I、K)
  • 2.5.8 食品安全文化(全業種、D)
  • 2.5.9 品質管理(全業種、F1)
  • 2.5.10 輸送、保管(部分的に適用)
  • 2.5.11 交差汚染防止のためのハザード管理及び手段(C、I)(部分的に適用)
  • 2.5.12 PRP検証(C、D、G、I、K)
  • 2.5.13 製品開発(C、D、E、F、I、K)
  • 2.5.14 健康状態(D)
  • 2.5.15 マルチサイト認証組織のための要求事項(A、E、F1、G)
  • 2.5.16 食品ロス(包装資材は適用しない)
  • 2.5.17 コミュニケーション食品製造で適用
  • 2.5.18 マルチサイト認証組織

FSSC 22000は『GFSI』の認証スキーム

GFSI(Global Food Safety Initiative)とは、イオン、コカコーラ、ウォルマート、英テスコ、仏ダノン等、世界の流通・食品大手約 650社が加入する組織(CGP:Consumer Goods Forumが策定)のこと。
GFSIでは、自社の取引先のレベルを一定以上であることを確実にすることを目指し、認証スキーム規格の取得を求めています。
FSSC 22000は、GFSIが取引先に認証を求めている規格(認証スキーム規格)の1つです。

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